§ 常に役柄と権威を先行させる
以前、ある経営後継者からこういう愚痴を聞いた。
「社長には、面と向かって言えないのに、私には、
“給料が安い。上げてくれ”と言ってきて、返答に
困るんです」
臥龍は、こうアドバイスした。
「そういう場合は、
“いいね!幾ら欲しいの?”と聞きなさい」
そして、「その年収を得るには、会社にどういう
貢献をすれば勝ち取れるのかを、一緒に設計しよう。
そして、それを現実のものにするために、全力で応援
するよ」と言いなさい。しかし、こうも付け加えた。
「社長に言えないけど、あなたには言ってくる。
それは権威がないから、なめられているからで、
こちらの改善の方が重要。一緒に権威を高める習慣を
見つけ、体得しましょう」
彼は今、少しずつ権威を身に着けつつある。これからが
楽しみだ。
「権威とは、ナニダレの法則、
何を言うかではなく、誰が言うか。
“あの人が言うならやるしかないね”と
思わせるオーラのこと」(臥龍)
「役職と権限は会社からもらうが、
役柄と権威は自前、常に役柄と権威を
先行させよ。役職と権限は後から付いてくる」(臥龍)
臥龍は、ある会社の再建を引き受けた際、18か月で課長を
社長に育成し、バトンタッチした。彼の役柄シートには、こう
書いてもらった。
「いつ社長職を指名されてもやり切る
覚悟と器量と実力を涵養する」
そして、「決めたことを100%やり切る」ことを実行して
もらった。これによって、社長になったとき、社内に「あの人は、
やり切る人だから、指示が出たらやるしかないよね」という
ムードが満ちてくる。
「常に役柄と権威を先行させる」、この二つは自分で100%
コントロールできるから、ストレスはゼロだ。臥龍は、経営
コンサルタントの仕事に着いて得たメリットは、顧客の組織図の
外だから、端から役職と権限はない。だから役柄と権威しかない。
これで社長を感化する。感化された社長が殻を破り、その結果、
企業の殻が破られる。自分の実力が明確、だから面白い。