§ 入場者数で抜かれてちょっと悔しい思い
テーマパークの業界で、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの成長が著しい。
テーマパーク別2023年入場者数ランキング(単位千人/対前年比)
01 マジックキングダム(米・オーラント)17,720(3.4%)
02 ディズニーランド(米・アナハイム)17,250(2.2%)
03 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(日本)16,000(29.6%)
04 東京ディズニーランド(日本)15,100(25.8%)
05 上海ディズニーランド(中国・上海)14,000(164.2%)
06 珠海長隆海洋王国(中国・珠海)12,520(184.5%)
07 東京ディズニーシー(日本)12,400(22.8%)
08 エプコット(米・オーラント)11,980(19.8%)
09 ディズニーランド・パーク(仏・パリ)10,400(4.7%)
10 ディズニー・ハリウッド・スタジオ(米・オーランド)10,300(△5.5%)
東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを合わせると2750万人だが、
単独で見ればユニバーサル・スタジオ・ジャパンは1600万人で両パークを
抜いている。昨年、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを二度利用して、
(大阪的というか)ガンガンゲストに踏み込む接客に驚くと同時に、ディズニ
ーランドももっとフレンドリーにしたらいいのに思った。一時、東京ディズニ
ーランドに仕事で関わった臥龍としては、入場者数で抜かれてちょっと悔しい
思いもあった。しかし、先日、二年ぶりに東京ディズニーランドと東京ディズニ
ーシーを利用して、「ディズニーはディズニーのままでいい」と強く思った。
§ 各自の判断で仕事をショーにする
初日は、東京ディズニーランド。ディズニーランドでは、仕事の優先順位
(SERVICE STANDARDS)が、明確に決められている。
Safety(安全性)
Courtesy(礼儀・マナー)
Show(ショー)=全ての仕事がショーである。
Efficiency(効率)の順だ。
大阪のユニバーサル・スタジオの従業員(クルー)の接客は、ここ数年、ゲストに
相当に踏み込んできている。接客もショーのようで、外国人や若い人には受けている。
しかし、ディズニーランドでは、ショーの前に礼儀・マナーがある。ここを崩すと、
ディズニーランドではなくなる。難しいところだ。
ディズニーランドの全従業員(キャスト)の仕事のゴールは、ゲストをハッピーに
することだ。だから、安全性と礼儀・マナーが担保されれば、各自の判断で仕事を
ショーにすることができる。掃除係の人(カストーディアル:custodial)が、ほうき
を使ったショーを始めた。⇒ https://youtu.be/bEvGJahAlsw
仕事の効率は落ちる。でも大丈夫。優先順位は4番目だ。ディズニーランドには、
2000を超える職種があるが、仕事のゴールと優先順位は全員が同じだ。
Q.貴社では、仕事のゴールと優先順位は全員揃っていますか?
§「ディズニー」に泣かされた日
二日目は、東京ディズニーシー。前日と打って変わって寒さが超厳しい。長く歩いた
こともあって、元々足腰が悪い家内の歩行が厳しくなった。実は、18:30より
東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテルのレストランを予約していた。
17:00のレストラン開店に合わせて伺い、「家内の足腰が厳しいので、18:30
までの時間、どこかで待たせて欲しい」と告げた。キャストは、家内の様子を見て、
「もしおよろしければ、今、ご案内させていただきましょうか?」。
臥龍、「助かります」。席についてしばらくすると、マネージャーらしき方が来て、
「大丈夫ですか?何かお手伝いできること、ございますか?」。
臥龍、「気を使ってもらってありがとう。大丈夫です」。
90分ほどで食事を終え、精算時にスタッフに頼んだ。「荷物をホテルミラコスタに
預けています。可能であれば、ホテルを抜けて、リゾートライン(モノレール)を使わ
せて欲しい」
ホテルミラコスタの位置が、シーでは真反対、40分以上歩かないといけない。家内の
状態では不可能。「可能であれば」と言ったのは、以下の規約を知っていたからだ。
規約のページ⇒ https://www.tokyodisneyresort.jp/hotel/fsh.html
1.東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル敷地内には、東京ディズニー
シー・ファンタジースプリングスホテルにご宿泊のゲストのみお入りいただけます。
2.東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル以外に宿泊し、東京ディズニー
リゾート・バケーションパッケージでファンタジースプリングス・レストランをご利用のゲ
ストは、レストラン店内のみお入りいただけます。
2秒ほど考えたキャスト、「はい。大丈夫ですよ。乗り場近くのエレベーターまでご案内します」
と笑顔で歩き始めた。臥龍、涙が溢れ、キャストの後ろ姿が滲んだ。エレベーター近くまで来た
とき、マネージャーが走って追っかけてきた。手には、バケーションパッケージでファンタジー
スプリングスに入ったゲストのリストバンド。
「テーブルにお忘れでした。これも大切な想い出ですから、是非、お持ちくださいね」
心の中で臥龍は、「ディズニーはディズニーのままでいい」「同質化はブランドを損ねる」と思った。
ホテルミラコスタに向かうリゾートラインの中で、臥龍と家内は、10月に東京ディズニーシー・
ファンタジースプリングスホテルに泊まることを決めた。余談だが、最近、コンサルタントの倒産
が増えている。https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200836_1527.html
AIエージェントの台頭でもっと増えるはずだ。同業者とだけ付き合っているコンサルタントは、
同質化していく。結果、経営者(お客様)から見て、わざわざ選ぶ理由が消えていく。コンサルタント
に言いたい。「異業種」「経営者」とだけお付き合いして、「異質化」をテーマにしなさい。