社長のビタミン・一日一語

「そんな狭い器量なら、今すぐ退塾せい!」

§「そんな狭い器量なら、今すぐ退塾せい!」

先日、宇都宮のカーコーティング会社・アペックスさんの研修会議の冒頭、
リーダーの鈴木真一郎さんの挨拶に感動した。「忙しさにかまけて、周囲に
目が行き届かなくてごめんなさい」

6月は従業員の体調不良などもあり、真一郎さんは一人三役の大激務だった。
言い訳を言おうと思えば幾らでも言える状況で、一言も弁解しない。その上
での「目が行き届かなくてごめんなさい」というお詫び。”彼の器量が大きく
なったなあ”と感じ、休憩時間に彼にも伝えた。

ふと先月お聞きした参議院議員・山田宏さんのお話の一節を思い出した。
松下政経塾での松下幸之助翁の厳愛。当時のナショナルショップ(松下の家電
を扱う小売店)で販売修行をする期間があった。ある塾生、自分が務めた電気
店店主の人間性に腹が立ってケンカ別れした。幸之助翁に「あんなところに
修行に行っても意味がない」と直訴。彼の話に、「そうか、そうか」と聞いて
いた幸之助翁、彼が話し終わると、「けどな君」と切り出した。

「そういう君自身、自分は完璧と思うんか?
一つや二つは足りないと思うところはないんか?」

「それは幾つか足りないところはあると思います」

その瞬間、幸之助翁は鬼の形相になった。「ここは天下を獲ろうという大志の
者の集まり、大器量が要る。器量人は、自分に少しでも非があれば、五歳の
子どもにでも謝れるもんや。 そんな狭い器量なら、今すぐ退塾せい!」

塾生一同震えあがる85歳の本気の叱りだった。叱られた彼も偉かった。

「すみません。行ってきます」と部屋を飛び出し、電気店に行って、店主に
土下座して謝った。

「人間の器量とは、
どこまでの範囲を自分事と思えるかで決まる」(臥龍)

「日本の政治が悪いのも自分のせい」という当事者国民であれば、必ず投票
に行くはずだ。