§ 教えないのが親切
臥龍のコンサル場面に同行した、経営コンサルタントや研修講師が、一様に驚いて
口にすることがある。「臥龍先生、ほとんどしゃべらないですね!」
「私たちは、お金をいただいていると、少しでも多く教えないと
仕事をしていないと思われそうで、ついついしゃべり過ぎでしまいます」
臥龍は、「2023WBC侍ジャパンヘッドコーチが伝える『心』の動かし方」
:PHP(白井一幸・著)を読んで、自分のやり方は間違っていなかったと更に
確信を深めた。少し長いですが、とても分かり易い事例なので、ご紹介させていただく。
(ここから)
■日本には「一生懸命がんばる文化」はあるが、「自ら考えて行動する文化」がない
アメリカに留学してまず感じたことは、家庭での子どもへの教育方針や学校教育の違いでした。
日本の家庭や学校では、やってはいけないことばかりを教えられます。
たとえば、幼い子どもがテーブルの上に乗っているコップをわざと倒すと、「何やってるの。
そんなことしちゃダメでしょう」と叱ったあと、すぐにテーブルを拭きます。アメリカの家庭では
子どもがコップを倒して、テーブルに水がこぼれたとしても、しばらくそのまま放っておく。
すると子どもは、こぼれた水を手で触って、ぴちゃぴちゃする感覚を飽きるまで続けます。
子どもが飽きた頃を見計らって、お母さんが「どうだった?」 と聞くと、子どもは自分が感じたこと、
考えたことを答える。そのあとで「コップを倒されたとき、お母さんはどんな気持ちだったと思う?」
と聞いて、さらに考えさせます。こういったやり取りを通して、子どもは学び、考える力を育んでいくのです。
子どもは、コップが倒れて水がどうやってテーブルの上で広がっていくのか、その水に触ったらどんな感じ
なのか、そういったことに興味があります。それなのに、コップを倒したら怒って、すぐに拭き取ってしまう
行為は、子どもが自分で考えて、学ぶきっかけを奪ってしまうようなものです。こういったことが日本の
教育ではあまりにも多すぎます。日本には一生懸命がんばる文化はあるけれど、子どもたちが自ら考えて
行動する文化がなさすぎるのです。これは日本の教育の問題だと感じます。学校現場の教育者やスポーツ
指導者などが率先して、「自ら考え行動することの大切さ」を伝えていく必要があります。(ここまで)
顧問先の現場を見ても、すぐに答えを教える「不親切」な場面をよく見る。臥龍は、以下のノルウェーの
ことわざをお伝えする。
「子どもを一日生きさせたければ、魚を一匹与えよ。
子どもを一生生きさせたければ、魚の釣り方を教えよ」
何が「親切」か、「不親切」か、間違えてはいけない。