社長のビタミン・一日一語

営業利益に至っては何と対前年比500%で笑った!

§ 営業利益に至っては何と対前年比500%で笑った!

表層、切り取りの一人歩きは怖い。その人の語りの一部だけ切り取る。
前後の流れがあればユーモアで終わることが、切り取りの一人歩きが
炎上する時代。SNS時代=カメラに囲まれた時代、リーダーはこれを
常に意識しないといけない。不自由な時代だが、これを攻め手に使う者
もいる。

農水大臣に就任した小泉進次郎氏の父親譲りの「スポットライトの有効
活用術」には、あり方は別として「やり方」としては上手と思う。

「大手の卸業者の中には、売上対前年比120%、
営業利益に至っては何と対前年比500%がある」

これは国民に「国民に不利を与えながら不当に稼いでいる業界」という
イメージを与える。しかし聞いた瞬間、「まじめに言っているなら経済
オンチ」、「意図的に言っているなら策士」と思った。

テレビ番組で、「調べてみました。実際に卸業者の中に、売上312億、
対前年130%、営業利益20億、対前年490%がありました」と報道
があった。490%で20億ということは、前年はかすかな黒字、やっと
正常になっただけ。あるいは売上営業利益率で6.4%、まともな利益率
に近づいただけ。何よりも、黒字企業の納税は国政を支えるひとつの柱、
「黒字は社会貢献の証」のはずだ。それを「営業利益に至っては何と対
前年比500%」を一人歩きさせる政治家とマスコミ、よほど国民を愚か
と舐めているのか・・・。

農水大臣として一番大事な数字は、国民の命を守る「食料自給率」のはずだ。
その中での「コメ」の話を聞きたい。ちなみにAIに聞いてみた。

孔明さん 日本の食料自給率はアメリカやヨーロッパの主要国と比べて
どういう水準ですか?日本の数値は食料安保の点からみて、危険それとも
安全ですか?

孔明さんの答え。日本の食料自給率(カロリーベース)は38~40%で、
先進国の中では明らかに低い数値です。一方「生産額ベース」では60~63%
となっており、こちらは少し健闘しています。

§ カロリーベースでの国際比較
1人1日あたりの必要カロリーを国内産でどれだけ賄えるかの割合
国・地域 食料自給率(カロリーベース)
オーストラリア 169~233%
カナダ     204~233%
アメリカ 104~127%
フランス 121~141%
ドイツ     93~100%
イギリス 65~78%
日本     38~40%
→これを見ると、日本は明らかに低水準です。

§ 生産額ベースの自給率
食料の総支出のうち、国内産の金額の割合
日本   60~63%
アメリカ 77~90%
フランス 72%
こちらは数字上、まだ6割程度は国内で賄えていることが分かります。

§ 日本の食料安全保障リスク
平時においては、国内農業だけでは食料を賄いきれないが、海外輸入で
カバーしており、供給は安定している状況です。有事(災害・輸入途絶等)
の場合、輸入依存度が高いため脆弱性が顕在化しやすいです。例えば、穀物や
飼料の輸入が止まると、畜産が壊滅的な影響を受ける可能性もあります。

§ 総まとめ
国際的比較では非常に低い自給力
→ 海外主要国の半分以下、さらに一部は数倍以上の自給率。
平時の供給は確保されているが、有事への備えが脆弱
→ 自給率を高めつつ、備蓄や輸入先の多様化、農業基盤強化が課題。

専門機関の見解
短期間で食料危機は想定しにくいが、2040~50年代には国内農業基盤の劣化に
ともなうリスクが増大すると指摘されています。

§ 結論
現状の自給率は国際的に見て低く、食料安全保障の観点では「危険」と
されています。平時は大きな問題なくても、有事に備える必要がある状態。
今後、政府は「国内生産の増大」「備蓄の強化」「輸入調達の多様化」などを
組み合わせて、根本的な食料安全保障の強化が求められています。